バイト先のオーナー・猛さんから譲り受けた改造されまくりの何代か前のバイク。


乗りこなすのにコツが必要だったじゃじゃ馬だったけど、こうして今は俺の足として大活躍している。


バイト先はハイソだと名高いエリアにある小さなカフェ。


中高生なんて、ほとんど見かけやしないし、しょっちゅうドラマや映画の撮影が行われているお高い街だ。


イチョウ並木通りを少し外れた一角に元ヤンだった猛さんが経営しているとは思えないほど、女受けしそうな外観のカフェで俺は働いている。


「万威は彼女作らないのか?」

「は?」