眠れる森の彼女

吏那が疑問を訴えるように俺を見上げる。


「行くぞ。吏那」


手荒に吏那の手を引き、母親を振り切るように歩き出す。


頭の中がぐちゃぐちゃだ。


あの女はいつも身勝手に俺を振り回す。


むしゃくしゃするのが止められない。


ロータリー前まで来て壁に凭れた。


隣には息切れしてる吏那が必死に呼吸を整えている。


頭に血が昇ったからって吏那を気遣えなかった。


「吏那、悪い。大丈夫か?」


はあ、と吏那は大きく息を吐いた。


「……大丈夫じゃなさそうなのは……椎名先輩です……」


とぎれとぎれの吏那の鋭い指摘に胸が詰まった。