眠れる森の彼女

山手線のトレインチャンネルを見上げて、吏那が感心したようにつぶやく。


海外からの観光客のように目に映るものが新鮮らしく初々しい反応を見せていた。


「わ! 混んでますね」


気を抜けば、忙しなく歩く人にぶつかるターミナル駅。


ティッシュ配りがたむろしている通りを歩けば、吏那は断れなかったらしく、あっという間に片手いっぱいティッシュだらけになっていた。


「椎名先輩ー、助けてください」

「馬鹿か。律儀に全部受け取らなくてもいいんだよ」

「だって、押し付けてくるんです……」


涙目で、ぶうたれる表情が愛らしい。


俺は吏那の手から溢れそうになってたティッシュを吏那の鞄に入れてやった。