眠れる森の彼女

***


あの日、吏那が目覚めることはなく、迎えに来た宗志さんの車まで吏那を運んだ。


吏那は中身が入ってないんじゃねぇかってくらい軽くて簡単に誰かに攫われちまいそうだ。


翌日のテスト後、美術室で会うと吏那は露骨に落ち込み、今にも泣きだしそうに瞳を潤ませ俺に何度も謝った。


「別に気にしてねぇよ」

「でも、椎名先輩に迷惑……」

「かかってねぇ。それに嫌いにもならねぇよ」


吏那が心配していることはわかったから先回りしてやった。


どうしたら吏那を嫌いになれるのか俺に教示できる奴なんてこの世に居ない。