眠れる森の彼女

「良かった……」


吏那の柔らかい頬が綻ぶ。


日に日に吏那への愛しさが増していく。


きりがなさすぎて、自分でも怖くなる。


「ここは暖かくて気持ちいいですね」

「──だな」


美術室の日当たりの良さだけじゃない。


ここに吏那が居るからだ、と本気で思う。


「もうすぐクリスマスですね」

「その前に期末テストがあるだろ」

「そういうときめきのないこと言わないでください」

「ときめき……」


微笑ましくて、思わず軽く笑う。


俺の人生で“ときめき“なんて単語が使われる日が来るとは思わなかった。


「何か馬鹿にしてますか?」