眠れる森の彼女

振り返らずにけだるく答えて、廊下に出る。


校則でバイトは禁止されていて、たまに無断でやっていた奴が見つかって停学処分をくらっているけど、俺は学校から許可をもらっていた。


母子家庭だからだとか、家庭の所得が少ないからだとか、そんな情けねぇ理由のおかげだけど。


「椎名くん、バイバーイ!!」

「椎名。今、帰りかー?」

「あー、明日な……」


かけられる高低さまざまな声色に適当に答える。


薄情だろうが、顔も名前も記憶にかろうじて残っているかどうかだ。


「今からカラオケいかねぇー?」

「クーポンあるから、マック行こうよー!」