眠れる森の彼女

「良くねぇよ」


親指で吏那の頬を軽く擦る。


頬を濡らす涙は拭える程度の量じゃない。


「俺は吏那が好きだ」


今度はその目を見つめて、はっきりと伝える。


告白って気力がいる。


心臓がぶっ壊れそうなほど加熱していた。


「……」


ここまできて吏那は困ったように逡巡している。


往生際の悪い女だ。


けど、それだけ吏那は傷ついて苦しんで、強固な砦を作ってしまった。


簡単に外へ出ろと言うわけにもいかない。


「俺も男だ」

「……女には見えないです」

「好きな女が腕の中に居ればどうにかしたくなるだろうが」

「な……」


吏那の頬が真っ赤に染まる。


「俺をフるなら今の内しかねぇぞ」