眠れる森の彼女

言葉も交わさずにただ吏那と抱きしめ合う。


互いの存在を刻みつけるように。


五感の全てで相手を感じるように。


「吏那……」


腕を緩め、目線を下げた先にあったのは涙でぐちゃぐちゃな吏那の顔。


こんなに吏那は可愛かったか?


俺は重症だ。


吏那が最強に可愛く見えて仕方ない。


「ずっと会いたかった、吏那」

「私のせいで、椎名先輩が停学になってごめんなさい」

「別に大したことねぇよ。それより火傷は大丈夫か?」

「大したことあります。私のことはいいんです……」


また吏那の目からは新たな涙が生成される。


それは純度の高いクリスタルのようで、舐めてみたい衝動を必死に堪えた。