眠れる森の彼女

一転して俺からは嗄れたような声しか出てこなかった。


「吏那を放っておけねぇ」


情けなくても、かっこ悪くても吏那に伝わってくれ。


吏那は劣った人間なんかじゃない。


俺を溺れさせて、余裕を無くさせて、夢中にさせる魅力がある。


「吏那じゃねぇと駄目なんだよ」


吏那は無言を貫いている。


まさか、今、症状が出て眠ったか?


「吏那は俺のことどう思ってんだよ?
吏那の本心を聞かせろよ」

「椎名先輩……!」


扉が開いたかと思うと、弾丸のように吏那が俺の胸へ飛び込んできた。


「椎名せんぱ……っ」

「吏那……」


声にならずに泣きじゃくる吏那を力一杯抱きしめる。


吏那だ。


吏那が此処に居る。


もっと吏那を感じたくて華奢な体を抱く腕に力が入った。