眠れる森の彼女

吏那の父親が居ないことで、そっと安堵していた。


俺に父親がいないからかもしれないけど、どう接するべきなのか。


ましてや弁護士なんて堅い仕事に就いている人間に関わった経験がない。


「吏那に言った? 支度はしてろって」

「もちろんよ。可哀相でしょ? 万威くんに寝起きのパジャマ姿を見られるなんて」


不埒な想像をしたのは男の性だから仕方ない。


吏那の母親は吏那によく似ている。


小柄で華奢だけどガリガリじゃない体型も、黒目がちの大きな目も母親譲りだろう。


「早速だけど、万威くんに吏那をお願いできるかしら?
迷惑かけてごめんなさいね」