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ほとんど眠れずに朝を迎えた。


しばらくぶりに吏那と会ってどうするかだとか、吏那の家に行くってことは両親にも会うのかとか、心配すべきことはたくさんある。


けど、何故か俺は不思議と落ち着き払っていた。


日の出を迎えたばかりのみずみずしい空気に包まれた中、宗志さんは俺を迎えに来た。


「別れたばかりの気がするな」


苦く笑う宗志さんは昨日とは違うスーツをもうきっちりと着込んでいる。


欠伸一つしない。


朝から隙のない人だ。


吏那の家まで車で40分かかった。


庭付きの裕福な家が競い合うように並んでいる中に吏那の自宅はあった。