宗志さんの声が冷たく突き刺さった。


試されてる。


俺がどうするのか。


吏那から逃げ出すか、それとも向き合うのかを。


「万威くんなら吐いて捨てるほど女が寄ってくるだろう。
別にウチの吏那じゃなくてもいい」


俺は大きく首を振った。


「吏那が好きで諦められそうにないです。吏那に会わせてください。お願いします」


体をなるべく宗志さん側に向け、深く頭を下げる。


宗志さんは「言うじゃないか」と俺を茶化す。


寂しそうで、嬉しそうな複雑な声音をしていた。


「いつまでも吏那が部屋で塞いでるから紅月家一同困ってたところだ。明日の朝、家に来てくれないか?
もちろん俺が車で迎えに行く」