眠れる森の彼女

宗志さんは短く嘆息した。


「それだけじゃないだろう。
ますます思ったはずだ。“椎名先輩に自分はふさわしくない“と」

「何で……」

「吏那は最初から万威くんに心を開いたか?」


記憶を掘り返す。


吏那はなかなか美術室に来なかった。


一緒に回ろうと告げた文化祭も最初は渋られている。


「吏那は万威くんの重荷になりたくないんだよ。好きだから尚更だ」


重荷になんかなるわけがない。


口を開けば俺に迷惑をかけることばっか気にしやがって。


何なんだよ。ちくしょう。


フラれてやってもいいと思ったけど、無理だ。


どうしても吏那を俺の手で守ってやりたい。


「面倒だと思ったか?」