眠れる森の彼女

混乱している俺に説くように宗志さんは説明を続けた。


──そうだな。


発症したのは吏那が中2の時だ。


当時の担任から吏那は授業中の居眠りが多すぎると、母親が学校に呼ばれたんだ。


居眠りなんて、だらけているとかサボってるとか、マイナスイメージだらけだろう。


ましてや本人の生活態度が悪いと非難されて当然だ。


吏那は何人もの教師に幾度となく叱られてたようだ。


俺たち家族も同じだった。


何も知らずに吏那を責めた。


反省しても繰り返す。しかも、授業が終わっても目覚めない。


友達もだんだん少なくなって、誰も吏那に話しかけようとしなくなったらしい。


集団生活で一度はみ出した者は非難の的になりやすい。


味方が一人もいない中、吏那はどれだけ孤独だったのか。


もっと早く吏那の異変に気づいてやれたら良かったと俺は未だに後悔している。