眠れる森の彼女

スイミンショウガイ。


動揺する前にそれが何なのか、まず理解しかねた。


それを察したのか宗志さんは言葉を続ける。


「よく夜眠れないだとか、寝付きが悪いだとか言うだろ。あれも立派な睡眠障害だけど、吏那の場合は少し違う。
“本人の意志を無視して、時も場所も選ばずに突然眠ってしまう“んだ」


俺は理解力に乏しいのか。


いや、そんな障害は今まで聞いたことがない。


授業中に眠りたくなくても眠くなる時くらいある。


電車に揺られてたら、いつの間にか寝ていて駅を乗り過ごしたこともある。


誰にだって、そんな経験が多かれ少なかれあるだろう。


「よくわからないって顔してるな。
無理もない。俺たち家族だって初めは信じられなかったからな」