眠れる森の彼女

素直に奢られたそれに口つける。


口にはキャラメルの甘さと温かさが広がった。


「不躾にすまなかったな」


吏那の兄だけあって礼儀は重んじる人なんだろう。


宗志さんは大学3年で、弁護士である父親の事務所を手伝いながら、司法試験の合格を目指して勉強しているらしい。


吏那の父親が弁護士だという噂は事実だと証明された。


「最近、吏那の様子が変わったんだ。やけに見た目を気にするようになったり、笑うことが増えた。
気になって問い詰めてやったら、案の定“椎名先輩“って男の影がちらついていた」


そこで宗志さんは俺を一瞥した。


やはり敵意が混じった鋭い眼差しだ。