眠れる森の彼女

俺はもらったギャラ500円で、久しぶりにメロンパンを買った。


食べるってことすらめんどくさくて、最近の昼休みはココアだけで済ませていた。


今日も吏那は来なかった。


待つのは苦しいんだと。


吏那と過ごした思い出が俺の孤独を確認させてくる。


今は吏那が居ない美術室に居ることが苦痛で仕方ない。


けど、俺は吏那に此処に居ると告げた。


痛みを伴っていたとしても吏那と約束したこの場所に俺は居る。


小さくても儚くても、吏那との約束は守り抜きたい。


今、吏那は何をしている?


俺はどうすればいい?


自分がこんなに不甲斐ねぇ男だと思わなかった。


世界が黒か白かもわからない。


行き先が前か後ろか右か左かもわからない。


義務的に毎日を送るだけの空っぽな自分。