眠れる森の彼女

俺は吏那を助けられていない。


むしろ学校を休ませるほど追い込んでるじゃねぇか。


罪悪感と自己嫌悪が肺を焼く。


「私だって馬鹿じゃないし……」


ぼそっとナミが呟く。


俺に聞いてほしかったのかほしくないのかわからない声だった。


「ってことで、手を出して」


ナミは露骨に空元気じみた笑いを浮かべ、俺の手の上に五百円玉をのせた。


「ミスターコンのポスターに椎名の写真を使ったギャラ。メロンパンおごるって約束したでしょ」

「多いだろうが。どれだけデカいメロンパン買えって言うんだよ」

「ギャラ安いって文句言われるかと思ったんだけど」