眠れる森の彼女

「椎名先輩が停学処分になってしまって、何て謝ったらいいのか……」

「みんなわかってるみたいです。椎名先輩が私たちを庇ってくれたって……」


別にお前らを庇ったわけじゃねぇけどな。


論点がずれすぎてんだろうが。


「詫びはいらねぇ。用はそれだけか?」


立ち去ろうとする俺を、5人は引き留めようか逡巡している。


まだ話し足りないのはわかったが目敏く汲んでやるつもりもない。


「あのっ!!」


5段ほど階段を上がった時に背後から声がかかる。


俺はそのまま足を動かす。


俺に聞く気がないと察したのか、一方的に言葉を続けてきた。


「紅月さんにはやりすぎたかなって反省してます! みんなが憧れてる椎名先輩と仲が良くて嫉妬してたのも認めます! 学校に来たら謝ろうって思ってます! だけど……」