戸口からかけられた声に張本人の俺だけじゃなく、クラス内の目が一斉に向けられる。


俺を呼んだのは、吏那に嫌がらせをしていたあの1年の5人組だ。


文句でも言いにきたか。


俺は渋々、彼女たちの前に進み出た。


「今日から椎名先輩の謹慎が明けると聞きましたので……」


これから通夜にでも出かけるのかというほど、5人は沈痛な面持ちでいる。


クラスのやつらが野次馬根性なのか俺たちに耳を澄ましていた。


「時間ねぇけど、廊下で話すか?」


さすがに一学年上のテリトリーでここまで注目されるのは酷だろう。


俺の提案に5人は素直に頷いた。