「だけじゃないだろう!!」

「職員室へ来い!!」


教師陣は大層な剣幕で俺の腕を掴み連行していく。


「ち、違うんです!」


吏那が珍しく大きな声を出した。


けど、元々声量がないのか、それほど迫力はない。


「椎名先輩は……」


言いかけた吏那に、人指し指を唇にあてて“し“と、密やかな合図を送る。


今にも泣き出しそうなほど吏那は苦しげだ。


「何でもないんで、早く行きましょうか? 先生」


吏那本人に好きだってばれて、何か、こう、めちゃくちゃはずいっていうか。


説教を垂れ続ける教師の話を聞きながら例えようもない羞恥で顔を覆い隠したくなった。