眠れる森の彼女

ずっと憤っていた。


吏那は俺に泣き言も弱音も言わないし、頼らない。


教科書とノートが俺の目の前に降ってきた初めて出会った時からそうだ。


俺は吏那に何が出来るんだろう。


何をしてやれる?


吏那が望まないのなら、見守ることしか出来ない。


無力感が歯がゆくて、どうにかしたくて、どうにも出来なくて、どうにかなりそうだ。


けど、吏那だってガキじゃない。


余計な手出しは、かえって吏那の立場を無視することになって傷つける。


わかってんだよ。


わかってるけど。


もうとっくに限界越えちまってんだよ。


「吏那を傷つけられて黙ってられるほど、あいにく俺は大人じゃねぇよ」