眠れる森の彼女

つつきたいと不届きに芽生えた感情を阻止し、渡された携帯を上昇させ、覗き込む。


画面には俺と吏那が映った。


今のってこんなに画質がいいのか。


「顔が切れてるだろ」

「あ、はい……」


おずおずと近寄る吏那。


湯上がりのような石鹸の香りが甘く鼻孔をくすぐって心拍が乱れる。


危ねぇ。
たかがこれだけで……。


吏那と写真を何枚か収め、俺は今度こそ牙とマントをとった。


「俺が着替えてるとこ見たいのか?」

「……え?」

「どこまでついてくるつもりだよ」


“男子用更衣室“と書かれた貼紙を指差し吏那に意地の悪い笑みを向けた。


「わ……! ご、ごめんなさいっ!」