眠れる森の彼女

いきなり“さん“付けした俺にナミは眉を大きく顰める。


隣の吏那がくすくす笑っていて、

「俺らの喫茶店ぼったくりだからな。来る必要ねぇよ」

気恥ずかしくなり、そのまま投票会場を後にした。


廊下に出ても、吏那はまだ笑いが収まらないようだ。


「そんな笑ってんなって」

「だって椎名先輩が強引すぎて不自然で。
しかも自分のクラスをぼったくりとか言ってるし……」

「仕方ねぇだろうが。それは事実だからな」


ふてくされたくなった。


いつまで笑ってりゃ気が済むんだ。


「ちゃんとわかってます。私が昨日呼び捨てが嫌だって伝えてしまったからですよね」