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翌日の文化祭一般開放日は朝から盛況で人混みが不得手な俺だが、不思議と不快ではなかった。


クラスの当番は昼頃だったから約束通り、吏那と校内を見て回る。


もらった引換券でクレープを手にし、クイズに参加しろだの、占いをするだの、勧誘されながら、混み合う廊下をゆらりと歩いていた。


「本当にクレープいらねぇのか?」

「私、甘いもの苦手なので」

「俺ばっか食ってんのもな。一口ならいけんだろうが」


持っていたクレープを吏那の唇の前に差し出すと、吏那は躊躇って視線を泳がせてから、

「いただきます」

と、かぷりとかぶりついた。