眠れる森の彼女

「ひでぇっ」


声が段々と大きくなる各務に織原は「しっ」と指を唇にあてた。


「つーかさ、何で万威と吏那ちゃんさっさとくっつかねぇの?」


ふてくされた各務に返答はしなかった。


くっつく


そんな手軽で気軽な関係なものでしかねぇのか。


母親を見てきた俺は知っていたはずだ。


男女の関係など、脆く、儚く、移ろいやすく、虚飾に塗れた薄汚い、軽蔑すべきものだと。


吏那とは……そういうんじゃねぇよ。


吹奏学部の演奏が終わり、再び活気を取り戻した生徒たち。


プログラムが進み、ステージでは各クラスと部活動の代表者による模擬店の紹介コーナーに入っていた。