眠れる森の彼女

もう役割も終えたし、美術室で時間を潰そうかとも思ったが、美術部の展示の準備をしているだろう。


文化祭期間は行けねぇか。


「これ。釘を打てばいいのか?」


邪魔なマントを女子に返し、床に無造作に落ちていた金槌を拾い、看板を作っている男の隣へしゃがみこむ。


喋ったこともない小太りのそいつは俺を見るなり、化け物に遭遇したように顔が引き攣った。


「だめだよ。椎名くんにこんな裏方の仕事やらせられないよ!」

「そ、そうだよ。もし椎名くんが指でも怪我したら、僕らが女子に殺される……」


吃り気味で話す隣で作業していた小さくてひょろい男も俺を制止する。


「俺、割と手先は器用なんだけど」