眠れる森の彼女

バイトが終わり、客が消えた店内のカウンターで今日も猛さんに賄いを食べさせてもらっていた。


ほぼ連日、昼はメロンパンの俺が風邪一つひかないのは、栄養バランスに気を配られた猛さんが提供してくれる賄いのおかげに違いない。


野菜なんて食った気がしねぇ。


と、偏食の嫌いがあった俺が、こうして今はグリーンサラダをバリバリ口に含んでいる。


「なーんか、ピリピリしてねぇか?
ま、客の前では出てなかったからいいけど」


カウンター越しに猛さんは顎を撫でながら、俺を見下ろしている。


「別に何も変わらないっすよ」

「いーや。万威は変わった。最近、特にな。
即ち、恋をしているに違いない」