眠れる森の彼女

押し黙って、睨み合う俺と吏那。


どっちが先に白旗をあげるか。


互いに腹を割らない心理戦は張り詰めた糸が緩んだように、同じタイミングで笑ったことで終了した。


「俺たち何やってんだろうな」

「本当に……」


犬も食わない不毛な遣り取りがバカバカしくなったのは吏那も同様だったらしい。


曖昧なまま決着がつかなかったせいで、昼休みが終わってからも、吏那が何を言いたかったのか尾を引いて気になった。


何で言わねぇんだよ。


苛々してるのに吏那にぶつける訳にはいかねぇ。


行き場がなくて体に滞留し、頭がおかしくなりそうだ。


「──万威。何かあったか?」