眠れる森の彼女

「私ですか……?」

「あぁ。他に何か言いたいことでもあるんじゃねぇか?」

「……」


さっと吏那が目を逸らす。


それは肯定してんだな。


「言いたいことがあるなら言えよ」

「……椎名先輩は言わないのに……?」


頬を膨らませて切り返してきた吏那に思わず言葉に詰まる。


俺のこれも“肯定“だと受け止められただろう。


「俺はいいんだよ」

「また……! 私もいいんです」


また……?


「良くねぇだろうが。気になるじゃねぇか」

「私も気になります」

「だから俺のことはいいんだって」