眠れる森の彼女

本人としてはぎこちなさを払拭するために俺に思いきって伝えたのだろう。


拗ねているような表情が、普段より吏那を子供に見せた。


「いつも通りだって」


俺もよくわからねぇ。


条件反射より素早く吏那に反応してしまう自分の感情が。


「怒ってもいねぇよ」


吏那にどう言えばいいのか見つけられない。


現に俺はピリピリしている。


吏那に対してじゃない。


でも吏那が絡んでいることは否定できそうにない。


「そうですか……」


言葉とはあべこべに吏那は寂しそうに呟いた。


そんな顔すんなよ。


容赦なく俺の胸を締めつけてくる。


「吏那こそ、いつもと違わねぇか?」