眠れる森の彼女

いつの間にか椎名の傍に浮上していた一人の女の子。


確かに近くで初めて紅月さんを見たけど、文句なく可愛い部類に入る。


幼さを残した可愛らしい小顔。


華奢で、色白で、庇護欲をそそられる男受けしそうな清廉な雰囲気。


バレー部で日々鍛えている私には持ち合わせていないものばかりだ。


でも、嫉妬なんかしてない。


家柄も良く、外見にも恵まれているはずの彼女は、1年の中で影が薄く、あまつさえ嫌われているらしい。


だから私は彼女を見下している……のかもしれない。


自分より下だと認めた女に椎名が盗られるなんて嫌。


裏のある彼女が椎名の特別になるなんて許せない。