あたし達は,言われた通り,真っ赤な車に足を進めた。

「おい…」

いきなり,手を捕まれた。
びっくりして振り向くと,さっきのムカつく男だった。

「龍平,こいつ借りていいか?」

皆がさん付で呼ぶ龍平さんを,呼び捨てにした。

「その子がいいって言うんだったらな」

龍平さんは,そんな事に気にもせず笑った。