切れない鎖


そう思うと走り出したくなる気持ちに駆られた。

しかし幼い頃から父に躾られてきた優輝は走り出す事などせず、背筋をしゃんと伸ばし一歩一歩をしっかりと歩いた。

(森の中が怖いから走っただなんて父さんに知られたら殴られるだけじゃすまされないぞぅ)

由緒正しい家は正しい子供がいなくてはならない。

兄の体が弱い優輝は、その正しい子供に育てられた。

兄の代わりに家を継ぐようにとも言われた事がある。

それ自体は嫌ではないのだが、自由な時間がないことは少し不満だった。

学校でも優秀な成績を収め、卒業式では論文を頼むと既に学校長から頼まれている。

そんな優輝を家族は、父は、留学させてくれたのだ。

(半年だけでも重荷から解放され、学園生活を楽しむぞぅ!)

新しい生活が始まると思うと、心が弾み、気味の悪い音など、既に忘れていた。