「いいもの?」
少女は顔を本からこちらに向けた。
すると、
「そ、それは、猫という生き物ではないのかね!?」
と、驚いた声をあげた。
「うん、そうだよ。前に君が一度見てみたいって言ってたからさ」
優輝は笑顔で答える。
すると少女はカシャリと音を立て、こちらへ近付いてきた。
「さ、触ってもいいのか?」
「どうぞ」
優輝は猫を少女の方に近付けた。
少女は恐る恐る猫に触れる。
「や、柔らかい?」
少女は不思議そうな声をあげた。
「この猫、大人しいから連れてくるの結構簡単だったよ」
「猫にも性格があるのか?」
「うん」
優輝は猫を下に下ろした。
「すぐひっかいてくるのもいるし、ずっと寝てるのもいる。大人しいのもいるし、ずっと鳴いてるのもいる。だって、生きてるんだもの」