切れない鎖


それからしばらくが経った。

ガタガタ

と音がする。

それに合わせて体も揺れる。

少女は、馬車の中にいた。
  
馬車が止まる。

少女が降りると、そこは高い高い塔の前だった。

「ここか……私が暮らすのは……」

数日前、父親に言われたのだ。

『家来を一人つけてやるから違うところに住め』

と。

するとその家来が塔の入りに立っていた。

「宜しくお願いします」

少女は無視して階段を登った。

「エレベーターございますが」

後ろから家来の男の声がする。

「いい。どうせ一度しか登ることはないのだから」

少女はそう返すと、長い長い階段を登り続けた。

ようやく頂上に着き、扉を

ギィィィ

と開く。

中は、普通の部屋だった。

ベッドにテーブル、暖炉にキッチン。

そして、何もつながれていない、二つの鎖。

先端には、輪っかが付いている。

少女はぞっとした。

「まさか……私に……?」