そして遂に出立の時。
「優輝。この期に、やりたいことをやるといい。今まで兄の分まで散々苦労をかけたからな」
優輝ははっとした。
「父さん……。父さんは僕のために?」
しかし父は質問に答えず顔を空の方へ向けると、優輝の頭をぐしゃりと撫でた。
(父さん……)
「ありがとうございます」
優輝は温かなものを胸に抱え、ユルサル行きの船に乗り込んだ。
ぼーーーーーーーーーー
と、低い音が響き渡る。
優輝は最後にもう一度家族を見た。
「優輝さぁぁぁぁぁん!沢山手紙を書きますからねぇぇぇぇぇ!」
咲は大きく手を振りながら叫んでいる。
優輝も手を振り返した。
これから始まる、半年限りの留学に心を弾ませて。



