「優輝さんが留学なんて嫌です!離れたくない!」
出立当日、そう言って優輝にしがみつくのは姉の咲だった。
「咲。半年後には会えるのだから、どうか泣かないで。姉として、しっかり僕を送り出してください」
自分よりも背丈の小さい姉の頭に手を置き、顔を覗き込む。
咲もまた、自分よりも背丈の大きい弟を見つめた。
「半年も会えないだなんて......」
「咲、優輝さんはお家のためにお勉強しに行くのですよ。お邪魔をしてはなりません」
母はそう言って咲を慰めた。
「優輝、達者でな。まぁ、半年だけだ。しっかりな」
兄の卓志も声をかけてくれた。
「俺が体が弱いばかりにお前に負担がかかってすまない」
幼い頃から体の弱い卓志はすまなそうな顔をして謝る。
「気にしないでください、兄さん。留学という機会を頂けて、嬉しいんです。沢山学んで来ますね」
優輝はそう言って笑った。



