切れない鎖


「あの、僕怪しい者じゃないよ」

優輝はそこで立ち止まり、顔の前で手を振った。

名のない少女は優輝をじぃ~っと見ている。

「あの、君はどうしてこんな所にいるの?」

優輝の問いに、少女は少し躊躇いながらも答を口にする。

「世の中で言う、義務」

「義務?ここで過ごすことが義務なの?」

少女は頷く。

「国王の、命令」

「国王って、ユルサルの国王?」

また少女は頷く。

「どうして国王はそんな命令するの?国王って誰?」

すると少女は首を振った。

「それ以上は、答えられない。それと、もう、戻れ」

少女は優輝が入ってきた扉を小さな手で指差す。

「え、どうして?もしかして君、何か用事があった?」

「ない。何も、出来ないから。用事、無いけど、戻れ」