「いえ、きっと、ユルサルの心の傷は癒えることはありません」

優輝が悲しそうに返す。

すると、隣に座っていたユルサルが、

「君の足も、治ることはないのだろう?」

と、優輝同様、悲しそうに言った。

「いいんだよ。君が僕を思ってくれたからこそ、だろ?君があぁしなかったら、僕は日本にいる間にストラスさんに殺されていたかもしれないしね」 

優輝はまた、ふわりと笑った。

その後ストラスは警察に連行され、精神科にお世話になることになったらしい。

ミラルは気を利かせたのか、どこかへと去っていった。

優輝は、ユルサルの手を握り言った。

「帰ろう。僕達のいるべき場所に」

ユルサルもきゅっと握り返す。

「あぁ、帰ろう」

二人の影は、いつまでも離れることはなかった。