「食欲がないんだ……」

「そうですか……」

咲は膳を持つと、悲しそうな顔をして部屋を後にした。

「ユルサル……、どこにいるんだい?」

返事など、あるわけがない。

「会いたいよ‥‥‥、ユルサル……」

優輝は、布団に顔をうずめた。

あれ以来、シャルンもアナも、家族も、皆が優しく接してくれている。

しかし、ユルサルがいなくなった、心の傷は癒えない。

数日後、優輝はシャルンに尋ねた。

「シャルン、ユルサルの居場所は、分からないのかい……?」

シャルンははっとし、頷いた。

「分かる……」

「やっぱり分かるんだね」

優輝は驚きはしなかった。

「教えてくれないかい?」