切れない鎖


「あ、美味しい」

優輝がそう呟くと校長が嬉しそうな顔をした。

「そうだろうとも!なんせ、私の特製の紅茶だからね。他に何か感想はないかね?君」

「え?え?他に感想?ええと、レモンが入っているんですかね。その酸っぱさを甘い砂糖が隠していて、とても美味しい、です?」

校長がじぃっと見てくるので最後は疑問形になってしまった。

「あ、あの?」

優輝が声をかけると残念そうな溜め息を付いた。

「君もか。まぁいい。美味しいと言ってくれて嬉しいよ。それが飲み終わったら君の部屋まで案内してあげよう」

校長はそう言うと自分の机にどさっと腰を下ろした。

(校長先生が期待する感想を言えなかったのかな。何だか申し訳ないな)

しかし今更言い直すのもどうかと思うので、優輝は紅茶を飲み続けた。

「あの、とても美味しかったです。ごちそうさまでした」 

紅茶を飲み終えた優輝が声をかけると、校長は顔をこちらに向けた。

「そうかそうか。ありがとう。君」

すると校長は元の明るさを取り戻していた。