すぐにお兄ちゃんを問い詰めたら、思い出したようにポンと手を叩いて


『あれか! 愛梨の前に俺という壁があることを覚えておくんだなってやつ。兄ちゃんかっこいいだろ?

でもそんなつもりで言ったんじゃなかったんだけどな』


お兄ちゃんにその気はなくても、そう捉えられてしまったのですよ。


それからだ。“戸田愛梨”という名前と“兄がシスコン”という情報が学校中に知れ渡って。


興味本位で教室にまで見に来る人もいたりして。


数ヶ月も経てばそんなことはなくなったけれど、



「趣味や特技…、学歴まで。履歴書かって」



文面を読みながら突っ込みを入れるお兄ちゃん。



「……」



“戸田愛梨に告白をするには兄の許可が必要”って噂だけはまだ一人歩きしてるみたいで、


お兄ちゃんに気に入られようとこうやってお兄ちゃん宛に手紙を書いてきたり…、下駄箱にスポーツ雑誌が入ってたこともあったっけ。



「ふむ。残念ながらこの紙切れからはまったくこいつの人間性が見えてこない。不採用!!」



手紙をつまんで指でパチンと弾いたお兄ちゃん。


お兄ちゃんはこれはこれであたしに悪い虫がつかないと喜んでるみたい。


ま、あたしからしたらお兄ちゃんの許可が出ようが出まいが関係ないけどね。


恋愛はあたしの好きな人とさせていただきます!!