不幸中の幸いとはまさにこの事だろう。
本当なら死ぬはずの運命の中で、
助かったのだ。
それも、人魚に助けられて。
彼ははじめ、何もかもが
信じられなかった。
夢を見ているのではと我を疑った。
しかし、亡くなった乗組員の仲間たち…
どいつもこいつも、陽気でいいやつばかりだった。
だのに、もう戻らない。
言葉を交わすこともない。
荷物も戻らない。
何もかも失った。
後からあとから、ただただ虚無感だけが
彼を襲った。
とぼとぼと家に帰った。
何もない。
家に帰れば最低限のお金や生活用品は
残っている。
でも、何もない。
もう悲しいとさえ思わなくなっていた。
何もない。
そのままどの位過ぎたのだろう。
どこにも出かけず、
家の中で過ごしていた。
虚無感から僕を引きずり出したのは
空腹だった。
こんな時でも、正常に働く自分の体が
恨めしかった。
家に蓄えておいた果物の砂糖付けや
干し肉は底を尽きかけている。
新鮮な食材が必要だった。
いつまでうだうだしていても
どうにもならない。
海の恵みを受けるため、
僕は海へと向かった。
本当なら死ぬはずの運命の中で、
助かったのだ。
それも、人魚に助けられて。
彼ははじめ、何もかもが
信じられなかった。
夢を見ているのではと我を疑った。
しかし、亡くなった乗組員の仲間たち…
どいつもこいつも、陽気でいいやつばかりだった。
だのに、もう戻らない。
言葉を交わすこともない。
荷物も戻らない。
何もかも失った。
後からあとから、ただただ虚無感だけが
彼を襲った。
とぼとぼと家に帰った。
何もない。
家に帰れば最低限のお金や生活用品は
残っている。
でも、何もない。
もう悲しいとさえ思わなくなっていた。
何もない。
そのままどの位過ぎたのだろう。
どこにも出かけず、
家の中で過ごしていた。
虚無感から僕を引きずり出したのは
空腹だった。
こんな時でも、正常に働く自分の体が
恨めしかった。
家に蓄えておいた果物の砂糖付けや
干し肉は底を尽きかけている。
新鮮な食材が必要だった。
いつまでうだうだしていても
どうにもならない。
海の恵みを受けるため、
僕は海へと向かった。
