「これって、どこのパックツアー?」

私は高志に問いかけた。


「これ?実はうちの企画なんだけど。

まだ、許可が上から降りてないらしくて」


「え?そうなの?何々?これってもしかして高志の企画?」

「まさか、あ~・・・誰が作った企画だったっけ?忘れた」

「もぅ、頼りにならない営業ね」

笑って言う高志に、私は呆れ顔で言った。



「でも、その企画、許可が下りたら俺が添乗員だって言うのは

決まってんだよな」


「何で、高志が?」


「え?さぁ・・・この企画の添乗員は、女じゃダメなんだとさ」

「あっそ・・・」

そう言ってまた高志から広告を奪い返し、私はそれに見入った。


企画内容。

・1か月の長期旅行

・行き先:南の島

・ホテルは全室オーシャンビュー。

※ただし、この旅行には、男性でも女性でも、一人で参加する事。

という条件付きだった。


「…変な企画」

私はそう呟いて、その広告を、デスクの上に置いた。