「いびき掻きながら、安心しきってねむちゃって」

オレは、自分の腕の中で安心しきって眠る美和の鼻を、

軽くつまんだ。


「・・・ん」

それにかすかに反応して眉間にしわを寄せた美和を見て、

思わず頬が緩んだ。


…女恐怖症のこの俺が、

自分からこうやって女を抱きしめてること自体奇跡だった。


何で、俺が女恐怖症になったか?

それはすべて、今まで付き合ってきた女どものせいだ。

…見た目と性格にギャップがあり過ぎるだの、

…触れ方が気持ち悪いだの、

好き勝手言われたオレは、女と付き合う事はおろか、

近寄る事も、触れる事なんてもっての外。

女は自分にとって、害虫意外なにモノでもないと思っていた。


…それがどうしたものか。

美和とだけは嫌悪感も、恐怖も感じない。

言い合いしても、こうやって触れてても、嫌だと言われないし、

嫌だとも思わない。


・・・むしろ、こうやって安心される事が、

どれだけ嬉しいかとさえ思ってしまう。

…だが、それをうまく表現できなくて、

美和に、冷たい態度しか取れない自分がもどかしい。