「…あのさ、高志」

「・・・あ?」


「この部屋割り、おかしくない?

第一、部屋なんて個室でしょうが普通・・・。

大の大人が、しかも全く赤の他人と相部屋なんて、しかもこんな」


私はジーッと、恨めしそうな顔で高志を見た。

高志の笑顔は明らかに引きつっている。


「オレも今朝知らされたんだよ。

男女ペアで相部屋だって・・・相手が嫌なら、誰かと変わってもらえばいいじゃん。

別に強制ってわけじゃないんだから」

そう言ってシッシっと私を遠ざけようとする。



「だって・・・」

「おい、さっさとしろ、ノロマ」

「・・・・」

私達の方に向かってくる私の相部屋の男。

それは、紛れもなく、あのスーツの男。


「…ご愁傷様」

それだけ言って、高志は逃げるように、他の客の所に行ってしまった。


「私はノロマじゃありません…美和ってれっきとした名前が存在します」

「…ノロマじゃなければ、減らず口、だな」

「なっ?!」