…あの頃なら、もっと色んなことを、素直に言えたのに。
片想いしてた頃より、ずっと色んなことが言えない。
失うのが怖くて、呆れられるのが怖くて。
ナツは、何も言わずに私の次の言葉を待ってくれてる。
さっきだって私、返事もできずに俯いて、心配させたのに。
ナツは、大人だ。
私なんかよりずっとずっと、先を歩いてる。
どんなに見た目を磨こうと努力したって、肝心なときに何も言えないんじゃ、なんの意味もない。
「……ごめんなさい、ナツ」
ぎゅう、と目をつぶって、私は震えた声を出した。
「……なんで私、こんな駄目なんだろ……っ」
馬鹿だなぁ、ほんと。
なんでこんなに、子供なんだろ。
なんでもっとナツみたいに、上手くできないんだろう。



