……だから、なのかな。
会いたい、だけじゃ足りない。
もっと、彼からの気持ちが欲しい。
触れて欲しい、離さないで欲しい。
…なんて、そんなのばっかり。
どんどん欲張りになってく。
「……未海。今日、あんま楽しくなかった?」
空が、もうすっかり橙に染まっている。
遊園地を出て五分ほど経った頃に、ナツが不安そうに私の顔を覗き込んだ。
「……えっ?いやいや、そんなわけないっ」
質問の意味を理解して、慌てて首を振る。
ナツは「そっか」といまいち納得していない顔で、前を向いた。
そのとき、私がさっきまでボーッとしていたせいだと気づき、何も言えなくなる。
「……………」
不意に落ちた沈黙が、なんだか重かった。
ちらりと、ナツを見上げる。
彼は私を見ずに、前を向いたまま、「なんか」と言った。
「…未海は俺といるとき、いつも楽しそうにしてるからさ。…今日も、お前はよく笑ってたけど。でも少し、いつもより元気ないなって、思った、…だけ」
言い終わる前に、彼もちらりと、私へ視線を移した。



