「………ふ、ふふふ」
ぎゅーっと手を握り返して、ニヤける。
ナツはほんのり頬を赤くして、「なにニヤニヤしてんの」と言った。
「えへへ、つい。ナツ、大好きーっ」
「…知ってる」
彼は照れを誤魔化すように、そっぽを向く。
そんな仕草に、愛おしさを感じた。
…ナツは、あんまりストレートに、甘い言葉をくれたりはしない。
けど、こういうとき、ああちゃんと愛されてるんだなぁ、って、安心する。
……うん。でも…やっぱり、好きの比率は、私のほうが上なんだろうな。
なんて。
思っちゃうのは、我ながら馬鹿だなぁって思うけど。
…ナツが三歳も歳下の私と、それも遠距離で付き合ってくれてるなんて、今もちょっと信じられないし。
あっちの大学には、私なんかよりずっと大人で、綺麗な女の人が、たくさんいるんだろうし。
怖いなぁって、思う。
考え始めたら、キリがないのに。
「…………未海?」
そこで、ハッとした。
アトラクションの行列で待っている間に、ボーッとしていたみたいだ。



